轟神に包まれた轟

人間、誰しも何かに憑かれているぞ。

轟を轟たらしめるのが轟神なのか、それとも、轟を蔽って閉じ込めているのが轟神なのか、されば轟と轟神は一体なのか、さに非ざるか、まったくもってわかり申さず。この被膜の如き神、一種の病の如きものに似たれども、あるいは中の人を守りたるものか、これもわかり申さず。人、よほど困りたるときにはこの神あらわれて、俗物を遠ざけんとするものの如し。得体の知れぬものなれども、神意もとより知りがたし。あなかしこ、あなかしこ。病に至る前によくよく崇むべし。この神に用なき者は見るべからず。できれば会いたくもなき神なれば、敬して遠ざけよ。ここで会ふたが百年目、見てしまったなら今は限りと御覧じよ。